数学的なアレ。

レベルは低いですが数学について色々なことを書いていきます!

-1×-1=1の証明

 {-1} \times{-1}=1」という事実を初めて学ぶとき、ほとんどの人はなんだか納得できないまま覚えさせられたことでしょう。

この式はつまり「マイナスとマイナスをかけるとプラスになる」ということを表していますが、普通に教えられただけでは疑問は解消されないと思います。

 

そこで、今回はこの式が正しいことの「証明」を行います。

 

証明に向けて、まず「1とはどんな数か」を定義します。

(1).以下の性質を満たす数を1と定義する。
1 \times a=a \times1= a (aは任意の実数)

1という数にはこのような性質がある」という意味とは多少異なりますのでご注意ください。

ちなみに、このような数を(乗法の)単位元といいます。

それと、今回はaを任意の実数ということにしておきました。今回の場合は整数でも良いかもしれませんが、まあそういうことで(適当)。

 

次に 、「0とはどんな数か」を定義します。

(2).任意の実数aに対し以下の性質を満たすb0と定義する。
a \times b=b
a+b=a

 

次に、「マイナスの数とはどんな数か」を定義します。

(3).任意の実数aに対し以下の性質を満たすbが存在するとき、それを-aと定義する。
a+b=0

 + \timesに関しては交換法則(演算子の両端を交換してもよい)が成り立つことに注意してください。

 

また、次の「分配法則」が成り立つことも確認しておきます。

(4).任意の実数a,b,cについて以下が成り立つ。
a \times (b+c)=ab+ac

分配法則は本来証明すべきことですが、ここでは既に証明がなされていることとします。

 

さらに言えば、以下も成り立ちます。

 (5).実数a,bに対しa=bが成り立つとき任意の実数cについて以下が成り立つ。
a+c=b+c
a \times c=b \times c

 おそらくこれは等号の性質として成り立つもので、証明すべきことではないと思います(確かではありません)。

 

色々と準備してきましたが、以上の事柄は言ってしまえば「当たり前」のことです。
しかし裏を返せば、これら当たり前のことから目標である「直感的に分かりにくい」等式を生み出すことができるのです!

 

では、(1).~(5).を使って目標の式を証明(導出)します。

 

(3).で、a=1とすると

1+(-1)=0

(5).より、両辺に-1をかけると

(1+(-1)) \times{(-1)}=0 (右辺は(2).より0となります。)

(4).より、

(1 \times{(-1)})+((-1) \times{(-1)})=0

言い忘れましたが、足し算より掛け算を先に行います。

そして、左辺の左側のカッコは(1).より、-1となります。

 (-1)+((-1) \times{(-1)})=0

(5).より、両辺に1を足すと

(-1)+((-1) \times{(-1)})+1=1

右辺では(2).を用いました。

そしてまたまた言い忘れましたが、数を複数個足すときは足す順序を変えることができます(結合法則)。

(-1)+1+((-1) \times{(-1)})=1

 ここで、左辺の左側の2項は(3).より0に等しくなるので

0+((-1) \times{(-1)})=1

左辺は(3).より((-1) \times{(-1)})に等しくなります。それと、カッコはもういらないので取ってしまいましょう。

-1 \times{-1}=1

 

以上で、目標の式の証明(導出)をすることができました!

 

ただ、「納得する」かどうかはまた別の話だと思います・・・。

 

しかしながら、少なくとも数学的に正しいことは証明することができました。