数学的なアレ。

レベルは低いですが数学について色々なことを書いていきます!

等比数列の和の公式の証明

等比数列とは、隣り合う2項の比がどこをとっても等しいような数列です。

例えば、1,2,4,8,16ならば、どの隣り合う2項をとってもその比は2です。

 

一般に、等比数列は次のような形をしています。

 \{S_{n}\}=a,ar,ar^2,\ldots ,ar^{(n-1)}

 ここで、nを項数、aを初項、rを公比といいます。

 

そして、等比数列\{S_{n}\}のすべての項を足し合わせたものを等比数列の和といい、その和をn,a,rを用いて表したものを等比数列の和の公式といいます。

 (等比数列の和の公式)
S_{n}=a+(ar)+(ar^2)+\cdots +(ar^{(n-1)})=\displaystyle \frac{a(1-r^n)}{1-r} (r\neq 1)

 ここで、S_{n}等比数列の和としました。

この場合、r=1だといわゆるゼロ割りが起こってしまうのでr\neq 1という条件付きです。

 

以下、この公式の証明を行います。

 

定番の方法ですが、まず普通にS_{n}を書きます。

S_{n}=a+(ar)+(ar^2)+\cdots +(ar^{(n-1)})

次に、S_{n}r倍した式を作ります。

rS_{n}=(ar)+(ar^2)+(ar^3)+\cdots +(ar^n)

右辺には分配法則を用いました。

そして、S_{n}からrS_{n}を引きます。

S_{n}-rS_{n}=a-(ar^n)

右辺は両端以外の項が打ち消し合ってうまく消えてくれます。

あとは少し整理して

S_{n}(1-r)=a(1-r^n)

両辺を1-rで割れば

S_{n}=\displaystyle \frac{a(1-r^n)}{1-r}

となり、先ほどの公式と一致しました。

等差数列の和の公式の証明

等差数列とは、隣り合う2項の差がどこをとっても等しいような数列です。

例えば、1,3,5,7,9ならば、どの隣り合う2項をとってもその差は2です。

 

一般に、等差数列は次のような形をしています。

\{S_{n}\}=a,a+d,a+2d,\ldots ,a+(n-1)d

 ここで、nを項数、aを初項、dを公差といいます。

 

そして、等差数列\{S_n\}のすべての項を足し合わせたものを等差数列の和といい、その和をn,a,dを用いて表したものを等差数列の和の公式といいます。

(等差数列の和の公式)
S_{n}=a+(a+d)+(a+2d)+\cdots +(a+(n-1)d)=\displaystyle \frac{1}{2} n(2a+(n-1)d)

 ここで、S_{n}を等差数列の和としました。

 

以下、この公式の証明を行います。

 

定番の方法ですが、まず小さい順(昇順)に和を書き並べていきます。

S_{n}=a+(a+d)+(a+2d)+\cdots +(a+(n-1)d)

次に、大きい順(降順)に和を書き並べます。

つまり、先ほどと逆順になります。

 S_{n}=(a+(n-1)d)+(a+(n-2)d)+\cdots +a

そして、これをそのまま縦に足していきます。

2S_{n}=(2a+(n-1)d)+(2a+(n-1)d)+\cdots +(2a+(n-1)d)

例えば、a(a+(n-1)d)を足すと(2a+(n-1)d)となります。

こうすれば、(2a+(n-1)d)の項がn個出来上がるので

2S_{n}=n(2a+(n-1)d)

と書くことができます。

あとは両辺を2で割れば

S_{n}=\displaystyle \frac{1}{2} n(2a+(n-1)d)

となり、先ほどの公式と一致しました。

和の法則・積の法則

和の法則とは、以下のことを指します。

同時に起こらない2つの事象A,Bに対し、Aの起こり方がm通り、Bの起こり方がn通りあるとき、AまたはBが起こる場合の数はm+n通り。

 よくある例えになりますが、Aを和食4メニュー、Bを洋食5メニューとし、その中から1つメニューを選ぶ場合、和食と洋食は同時に選べないので、和の法則よりその場合の数は4+5=9通りとなります。

 

次に、積の法則とは以下のことを指します。

事象Aの起こり方がm通り、その各々について事象Bの起こり方がn通りあるとき、AかつBが起こる場合の数はm \times n通り。

こちらはAをサンドイッチ3種、Bをドリンク2種とし、どちらからも1つずつ選ぶ場合、サンドイッチ1つに対し2種のドリンクが対応する(その時点で2通りの組み合わせが生まれる)ので、積の法則よりその場合の数は3 \times 2=6通りとなります。

 

以上2つのことは日常生活でもよくやることを数学的に述べたようなものですね。

 

さて、ここからは(正しいかどうかは分かりませんが)和の法則が実は包除原理に対応しているということを述べていきます。

(包除原理についてはこちら→包除原理について少し解説 - 数学的なアレ。)

 

集合Aの要素数n(A)と表記することにすると、包除原理とは以下のことでした。

 n(A\cup B)=n(A)+n(B)-n(A\cap B)

 ただし、A\cap B=\phiのとき、n(A\cap B)=0とします。

ちなみに空集合の記号には様々なものがありますが、ここではギリシャ文字\phi(ファイ)を使わせて頂きます。

 

ここで、事象Aを集合Aに、Aの起こり方mを集合Aの要素数n(A)に対応付けます。

すると、(この辺りが強引な気がしますが)事象A\cup Bの起こり方はn(A\cup B)に対応します。

そして、前述の通りに対応付けると事象Aの起こり方はn(A)事象Bの起こり方はn(B)に対応します。

 和の法則では「AまたはBの起こり方はm+n」、包除原理では「n(A\cup B)=n(A)+n(B)-n(A\cap B)」で、この2つは(対応付けにのっとれば)かなり似ています。あとはn(A\cap B)の項を0にすれば良いのですが、ここで和の法則の条件「事象A事象Bが同時に起こらない」が効いてきます。これは言い換えれば「AかつBは起こらない」、つまりA\cap B=\phiとなります。空集合の要素数0に等しいため、n(A\cap B)=0となります。

というわけで、この場合の包除原理の式は

n(A\cup B)=n(A)+n(B)

となり、今回の対応付けの上で考えると両者は一致します!

もしかすると、事象A事象Bの両者に共通部分がある場合も同様に成り立つかもしれません。

仮にこれが正しいとしても、数学的には当たり前の事実かもしれませんがとりあえず書いておきました。

 

積の法則はおまけ的存在になりましたが、正直積の法則については上記のような対応がまだ見つけきれていないので、今回はこの辺で。

包除原理について少し解説

包除原理とは、以下のことを指します。

2つの集合A,Bに対し
n(A\cup B)=n(A)+n(B)-n(A\cap B)

 ここで、n(A)は集合Aの要素数を表します。

包除原理は、「または」という状況を「かつ」という状況に変換できる公式です(逆も同様)。この公式は数学Aで初めて出てきますね。教科書によっては、「和集合の要素の個数の公式」というようなニュアンスの名前が付いているかもしれません。

なお、包除原理はさらに集合の個数を増やして一般化できるらしいのですが、正直よくわかっていないのでここでは省略します。

 

包除原理の証明についてはここでは詳しくはしませんが、集合が2,3個ほどの場合はベン図を用いて考えることができます(一般の場合にも同様の議論で可能なようです)。

やり方としては、集合(の要素数)やその共通部分などを足したり引いたりして左辺の状態にうまいこと持っていくような方法です。

数学的帰納法でも証明できるらしいですが、よく分かりません;

 

ここではとりあえず例題を解いてみます。

().集合A40以下の5の倍数の集合、集合B40以下の7の倍数の集合とするとき、n(A\cup B)を求めよ。

普通に求めにいってもいいのですが、ここでは包除原理を用いて解きます。

 

まず、A={5,10,15,20,25,30,35,40},B={7,14,21,28,35}より、

n(A)=8,n(B)=5

次に、A\cap B={35}より、

n(A\cap B)=1

これらを包除原理の式に当てはめると

n(A)+n(B)-n(A\cap B)

=8+5-1

=12

となります。

ちなみに左辺を普通に求めると、

A\cup B={5,7,10,14,15,20,21,25,28,30,35,40}より、

n(A\cup B)=12

となり先ほどの結果と一致します。

 

物足りない感はありますが、今回はこの辺で。

-1×-1=1の証明

 {-1} \times{-1}=1」という事実を初めて学ぶとき、ほとんどの人はなんだか納得できないまま覚えさせられたことでしょう。

この式はつまり「マイナスとマイナスをかけるとプラスになる」ということを表していますが、普通に教えられただけでは疑問は解消されないと思います。

 

そこで、今回はこの式が正しいことの「証明」を行います。

 

証明に向けて、まず「1とはどんな数か」を定義します。

(1).以下の性質を満たす数を1と定義する。
1 \times a=a \times1= a (aは任意の実数)

1という数にはこのような性質がある」という意味とは多少異なりますのでご注意ください。

ちなみに、このような数を(乗法の)単位元といいます。

それと、今回はaを任意の実数ということにしておきました。今回の場合は整数でも良いかもしれませんが、まあそういうことで(適当)。

 

次に 、「0とはどんな数か」を定義します。

(2).任意の実数aに対し以下の性質を満たすb0と定義する。
a \times b=b
a+b=a

 

次に、「マイナスの数とはどんな数か」を定義します。

(3).任意の実数aに対し以下の性質を満たすbが存在するとき、それを-aと定義する。
a+b=0

 + \timesに関しては交換法則(演算子の両端を交換してもよい)が成り立つことに注意してください。

 

また、次の「分配法則」が成り立つことも確認しておきます。

(4).任意の実数a,b,cについて以下が成り立つ。
a \times (b+c)=ab+ac

分配法則は本来証明すべきことですが、ここでは既に証明がなされていることとします。

 

さらに言えば、以下も成り立ちます。

 (5).実数a,bに対しa=bが成り立つとき任意の実数cについて以下が成り立つ。
a+c=b+c
a \times c=b \times c

 おそらくこれは等号の性質として成り立つもので、証明すべきことではないと思います(確かではありません)。

 

色々と準備してきましたが、以上の事柄は言ってしまえば「当たり前」のことです。
しかし裏を返せば、これら当たり前のことから目標である「直感的に分かりにくい」等式を生み出すことができるのです!

 

では、(1).~(5).を使って目標の式を証明(導出)します。

 

(3).で、a=1とすると

1+(-1)=0

(5).より、両辺に-1をかけると

(1+(-1)) \times{(-1)}=0 (右辺は(2).より0となります。)

(4).より、

(1 \times{(-1)})+((-1) \times{(-1)})=0

言い忘れましたが、足し算より掛け算を先に行います。

そして、左辺の左側のカッコは(1).より、-1となります。

 (-1)+((-1) \times{(-1)})=0

(5).より、両辺に1を足すと

(-1)+((-1) \times{(-1)})+1=1

右辺では(2).を用いました。

そしてまたまた言い忘れましたが、数を複数個足すときは足す順序を変えることができます(結合法則)。

(-1)+1+((-1) \times{(-1)})=1

 ここで、左辺の左側の2項は(3).より0に等しくなるので

0+((-1) \times{(-1)})=1

左辺は(3).より((-1) \times{(-1)})に等しくなります。それと、カッコはもういらないので取ってしまいましょう。

-1 \times{-1}=1

 

以上で、目標の式の証明(導出)をすることができました!

 

ただ、「納得する」かどうかはまた別の話だと思います・・・。

 

しかしながら、少なくとも数学的に正しいことは証明することができました。