等比数列の和の公式の証明
等比数列とは、隣り合う2項の比がどこをとっても等しいような数列です。
例えば、ならば、どの隣り合う2項をとってもその比は2です。
一般に、等比数列は次のような形をしています。
ここで、を項数、
を初項、
を公比といいます。
そして、等比数列のすべての項を足し合わせたものを等比数列の和といい、その和を
を用いて表したものを等比数列の和の公式といいます。
ここで、を等比数列の和としました。
この場合、だといわゆるゼロ割りが起こってしまうので
という条件付きです。
以下、この公式の証明を行います。
定番の方法ですが、まず普通にを書きます。
次に、を
倍した式を作ります。
右辺には分配法則を用いました。
そして、から
を引きます。
右辺は両端以外の項が打ち消し合ってうまく消えてくれます。
あとは少し整理して
両辺をで割れば
となり、先ほどの公式と一致しました。
等差数列の和の公式の証明
等差数列とは、隣り合う2項の差がどこをとっても等しいような数列です。
例えば、ならば、どの隣り合う2項をとってもその差は
です。
一般に、等差数列は次のような形をしています。
ここで、を項数、
を初項、
を公差といいます。
そして、等差数列のすべての項を足し合わせたものを等差数列の和といい、その和を
を用いて表したものを等差数列の和の公式といいます。
ここで、を等差数列の和としました。
以下、この公式の証明を行います。
定番の方法ですが、まず小さい順(昇順)に和を書き並べていきます。
次に、大きい順(降順)に和を書き並べます。
つまり、先ほどと逆順になります。
そして、これをそのまま縦に足していきます。
例えば、と
を足すと
となります。
こうすれば、の項が
個出来上がるので
と書くことができます。
あとは両辺をで割れば
となり、先ほどの公式と一致しました。
和の法則・積の法則
和の法則とは、以下のことを指します。
よくある例えになりますが、を和食4メニュー、
を洋食5メニューとし、その中から1つメニューを選ぶ場合、和食と洋食は同時に選べないので、和の法則よりその場合の数は
通りとなります。
次に、積の法則とは以下のことを指します。
こちらはをサンドイッチ3種、
をドリンク2種とし、どちらからも1つずつ選ぶ場合、サンドイッチ1つに対し2種のドリンクが対応する(その時点で2通りの組み合わせが生まれる)ので、積の法則よりその場合の数は
通りとなります。
以上2つのことは日常生活でもよくやることを数学的に述べたようなものですね。
さて、ここからは(正しいかどうかは分かりませんが)和の法則が実は包除原理に対応しているということを述べていきます。
(包除原理についてはこちら→包除原理について少し解説 - 数学的なアレ。)
集合の要素数を
と表記することにすると、包除原理とは以下のことでした。
ただし、のとき、
とします。
ちなみに空集合の記号には様々なものがありますが、ここではギリシャ文字の(ファイ)を使わせて頂きます。
ここで、事象を集合
に、
の起こり方
を集合
の要素数
に対応付けます。
すると、(この辺りが強引な気がしますが)事象の起こり方は
に対応します。
そして、前述の通りに対応付けると事象の起こり方は
、事象
の起こり方は
に対応します。
和の法則では「または
の起こり方は
」、包除原理では「
」で、この2つは(対応付けにのっとれば)かなり似ています。あとは
の項を
にすれば良いのですが、ここで和の法則の条件「事象
と事象
が同時に起こらない」が効いてきます。これは言い換えれば「
かつ
は起こらない」、つまり
となります。空集合の要素数は
に等しいため、
となります。
というわけで、この場合の包除原理の式は
となり、今回の対応付けの上で考えると両者は一致します!
もしかすると、事象と事象
の両者に共通部分がある場合も同様に成り立つかもしれません。
仮にこれが正しいとしても、数学的には当たり前の事実かもしれませんがとりあえず書いておきました。
積の法則はおまけ的存在になりましたが、正直積の法則については上記のような対応がまだ見つけきれていないので、今回はこの辺で。
包除原理について少し解説
包除原理とは、以下のことを指します。
ここで、は集合
の要素数を表します。
包除原理は、「または」という状況を「かつ」という状況に変換できる公式です(逆も同様)。この公式は数学Aで初めて出てきますね。教科書によっては、「和集合の要素の個数の公式」というようなニュアンスの名前が付いているかもしれません。
なお、包除原理はさらに集合の個数を増やして一般化できるらしいのですが、正直よくわかっていないのでここでは省略します。
包除原理の証明についてはここでは詳しくはしませんが、集合が2,3個ほどの場合はベン図を用いて考えることができます(一般の場合にも同様の議論で可能なようです)。
やり方としては、集合(の要素数)やその共通部分などを足したり引いたりして左辺の状態にうまいこと持っていくような方法です。
数学的帰納法でも証明できるらしいですが、よく分かりません;
ここではとりあえず例題を解いてみます。
普通に求めにいってもいいのですが、ここでは包除原理を用いて解きます。
まず、より、
次に、より、
これらを包除原理の式に当てはめると
となります。
ちなみに左辺を普通に求めると、
より、
となり先ほどの結果と一致します。
物足りない感はありますが、今回はこの辺で。
-1×-1=1の証明
「」という事実を初めて学ぶとき、ほとんどの人はなんだか納得できないまま覚えさせられたことでしょう。
この式はつまり「マイナスとマイナスをかけるとプラスになる」ということを表していますが、普通に教えられただけでは疑問は解消されないと思います。
そこで、今回はこの式が正しいことの「証明」を行います。
証明に向けて、まず「とはどんな数か」を定義します。
「という数にはこのような性質がある」という意味とは多少異なりますのでご注意ください。
ちなみに、このような数を(乗法の)単位元といいます。
それと、今回はを任意の実数ということにしておきました。今回の場合は整数でも良いかもしれませんが、まあそういうことで(適当)。
次に 、「とはどんな数か」を定義します。
次に、「マイナスの数とはどんな数か」を定義します。
と
に関しては交換法則(演算子の両端を交換してもよい)が成り立つことに注意してください。
また、次の「分配法則」が成り立つことも確認しておきます。
分配法則は本来証明すべきことですが、ここでは既に証明がなされていることとします。
さらに言えば、以下も成り立ちます。
おそらくこれは等号の性質として成り立つもので、証明すべきことではないと思います(確かではありません)。
色々と準備してきましたが、以上の事柄は言ってしまえば「当たり前」のことです。
しかし裏を返せば、これら当たり前のことから目標である「直感的に分かりにくい」等式を生み出すことができるのです!
では、~
を使って目標の式を証明(導出)します。
で、
とすると
より、両辺に
をかけると
(右辺は
より
となります。)
より、
言い忘れましたが、足し算より掛け算を先に行います。
そして、左辺の左側のカッコはより、
となります。
より、両辺に
を足すと
右辺ではを用いました。
そしてまたまた言い忘れましたが、数を複数個足すときは足す順序を変えることができます(結合法則)。
ここで、左辺の左側の2項はより
に等しくなるので
左辺はより
に等しくなります。それと、カッコはもういらないので取ってしまいましょう。
以上で、目標の式の証明(導出)をすることができました!
ただ、「納得する」かどうかはまた別の話だと思います・・・。
しかしながら、少なくとも数学的に正しいことは証明することができました。